Jan.2013HIBIYA × birdwatching

グッと冷え込むことが多くなり、街の空気が凛と引き締まっていますね。え、寒い季節は、お出かけが億劫?
そんなこと言っていたら、もったいない。ぜひ足を踏み出して、とっておきの時間を過ごしましょう。
今回は、都心のかけがえのない場所を訪ね、神秘さと不思議さを体験。野鳥の声に、そっと耳を傾けました。

さえずりが聞こえる

手足がかじかむほど底冷えのする、ある朝。気まぐれに日比谷公園に足を踏み入れてみると、その静けさに息を呑みました。人影はまばらで、聞こえてくるのは、チチチチ、ピチュピチュという、鳥のさえずりだけ。見上げると、メジロが枝から枝へと飛び回っています。

目線を移すと、落葉のうえでは、ヤマガラがカサコソと動いていたり。そして、園内の池を見ると、カルガモが水面をゆったりと移動し、波紋がまぶしく揺れて…。いつも通りの道を歩いていたら、まるで気づかない光景です。

とっておきの、皇居東御苑

そういえば、野鳥に詳しい知人に聞いたことがあります。皇居周りは、野鳥好きにとっては見過ごせないエリアなんだよ、と。「青い宝石」と呼ばれるカワセミが、水辺で遊ぶ姿を、僕は何度も見たことがあるよ、と。そして、彼は、まるで秘密を打ち明けるように、こっそりと、とっておきの場所についても教えてくれました。

そこは、内堀通りの北に位置する、皇居東御苑。都心のかけがえのない、彼にとっての秘密の空間に足を伸ばしてみると…、その神聖な雰囲気に、胸が高鳴りました。一瞬で、木のざわめきと小鳥のさえずりに包まれたのです。

贅沢な時間の過ごし方

つい先ほどまで、私は、ビルとビルの間を歩いていたはず。見慣れた街を、ふだんと同じ心持ちで闊歩していたはず。それが、今はどういうことでしょう。苑内の雑木林に、ただ立ち尽くし、木の実をついばむ小鳥を夢中で見つめている。

作家レイチェル・カーソンは、「神秘さや不思議さに目を見はる感性」のことを、「センス・オブ・ワンダー」と表しました。日比谷で、この感覚を味わえるとは。都会の美しい自然のなか、自由に動き回る鳥を見て、胸を躍らせる。贅沢な時間の過ごし方が、またひとつ、増えました。

INSIDE

日比谷に勤務しながら、週末も、野鳥を撮影するため、皇居近辺をよく訪れるという中川さん。野鳥に興味をもち始めたのは10年ほど前。現在は2キロ以上もある望遠レンズを携え、野鳥の撮影旅行に出かけるのが楽しみという、熱の入れよう。「さえずりを聞けば、何の鳥の鳴き声かわかる」という愛好家に、日比谷で野鳥を見る魅力について聞きました。

Q.野鳥に惹かれたきっかけは?
もともとは、主人と一緒に山に登ることが趣味で、山に咲く野の花を撮影していたのです。それが、だんだん、どこにどう動くのかわからない鳥を撮るほうがおもしろくなってきて。以来、すっかり鳥にハマっています。先日は奥日光に撮影に行ったのですが、マイナス10℃というあまりの寒さのため、カメラのバッテリーが上がってしまいました(笑)。最近は、バードウォッチングは幅広い世代に人気で、国内外のツアーも沢山組まれています。モノに消費するのではなく、「感動することにお金をかけたい」というかたが、増えてきているのかもしれませんね。
Q.日比谷で野鳥を見るコツを教えて
野鳥は、特に春~秋は朝早い時間に活発に動くので、午前中の早い時間に日比谷公園やお堀、東御苑を散策することをおすすめします。この時期見られる野鳥は、セキレイ、コゲラ、ヤマガラ、シジュウカラ、ジョウビタキ、そして、運がよければカワセミなど。東京の鳥は人間に慣れていて、近くまで寄ってきてくれるから可愛いですよ。

editor's pick

2枚目の写真は、皇居東御苑内の二の丸雑木林。四季による雑木林の移り変わりと、多くの野鳥を観察できる貴重なスポット。右写真は、同じく東御苑内の梅林坂から丸の内のビル群を望むショット。都会の真ん中に、これほど緑豊かな空間があることを、知らない人も多いのでは。苑内はどこも入園料無料という点も、嬉しい。

皇居東御苑